安全地帯 live @ Singapore Indoor Stadium
24日、日曜日、安全地帯のコンサートに行って来ました。
「シンガポールで活躍する有名日本人女性3人組」で行って参りました。
自分で言います。ははは。(私はともかく、他の二人は本当にそう)
安全地帯。何を隠そう、私大ファンです。はい。
80年代、90年代、日本のみならずアジアを席巻した時代から現在に至るまで。
当時のシンガポール。周囲の音楽好きの大人達は、みんな彼らの話をしていました。
一般人からも音楽人からも、その音楽性と玉置さんの圧倒的な歌唱力は、
絶大な支持を得ていました。
台湾、香港では多くの大物アーティスト達が安全地帯の曲をカバーしていて、
シンガポールは他国と比べて、シンガーの数が少く、
カバーしている人が誰も居なかったので、
私が将来歌手になって、安全地帯の楽曲を歌う、なんて密かに思っていたものです。
実は、私が今回制作した英語アルバム。
昨年、選曲会議の末、日本人の曲を1曲カバーしようという事になり、
最後の最後まで候補に上がっていたのが、安全地帯の"Friend"でした。
この曲は既に香港で、故ダニー・チャン氏が広東語でカバーしていますが、
英語でカバーした歌手はいないという事で、ギリギリまで最終候補に残っていました。
プラス、私からの要望で上げた曲が、玉置さんがソロになってからの楽曲「ロマン」。
この曲に私が英詞を書いて、歌いたいと申し出ました。
彼の曲の中で、私が最も好きな楽曲です。
▼こちらでご視聴下さい。
せめてシングルカットされ知られている曲をと却下され、
別の80年代の楽曲を収録しましたが...。
しかし先月、デビューアルバムをリリースしたシンガポールの歌手Tay Kewei嬢が、
"Friend"を日本語のままカバーして収録しています。
2006年に、私も出演させて頂いた汐留で開催されたSingaporeの文化イベントで、
Tanya Chuaが、玉置さんの曲を1曲カバーして歌ってました。
「安全地帯好きなの?」と聞いたら「尊敬している」とのお返事でした。
また、私の今回のアルバム。
台湾のアーティストの曲も1曲カバーしておりますが、この楽曲のアレンジを
依頼したのは、シンガポールを代表するアレンジャー、Terence Teo。
彼の自宅スタジオで、最初にブレストを行った際、私が楽曲の方向性を
こんこんと話すと、「つまり、君が求めているのは、こういう方向性?」と言って、
彼がコレクションの中から取り出したのが、安全地帯のアルバムでした。
「僕にとって、"アコースティック"の原点というのは、彼らなんだけど」と。
つまり、こういった事からもわかるように、アジアの音楽家が日本を意識した時、
必ず取り上げるミュージシャンが、「安全地帯」という訳です。
すみません。前置きが長くなりました。
そして本題の安全地帯 in Singapore。
誰もが、日本での玉置さんの言動や、1週間後の台湾公演が中止になった事から、
シンガポール公演は行われるのかという事を、心配していたと思います。
私も主催者側に知人が居るので、大丈夫?としょっちゅうチェックしてました。
あと、私が思ったのは、今回はツアーで楽曲の構成は変わらないだろうから、
他の公演同様「じれったい」で始めたら、「シンガポーリアンは立たない」から、
メンバーの皆さん、戸惑ったりしないかな?と思った事。
台湾や韓国のアイドルのコンサート等で、客層が10代中心の場合はまだしも、
シンガポーリアンは基本、立ちません。
「でも我々は立って、盛り上げようね〜」と打ち合わせする3人組。
ミュージシャン的視点で期待していたのは、全体の構成や各曲のアレンジ。
新旧楽曲、どんなアレンジで魅せてくれるのか、楽しみ!
そして本番。やはり「じれったい」からスタート。
立ち上がる我々3人。しかし、やっぱり。シンガポーリアンは立たなかった。
"Why you guys never stand up? You must, you know!!"と周囲を促しましたが、
みんな動きません。
でもシンガポーリアン、ノっていない訳ではないのです。
みんな体を左右に動かし、歓声を上げ、座りながら燃えているのです(笑)
ちなみにオープニングの模様はxinmsnでご覧頂けます。
ああ。
このペースで書いてると本当にエンドレスになってしまうので、
ここからは端的に感想を言います。
結論から言うと、素晴らしかったです。(端的過ぎる)
アップテンポとバラードの緩急の付け方。
力強いヴォーカルと、メンバーの安定した演奏とバランス。
往年のヒット曲を、サポート2人抜き、オリジナルメンバー5人が中央に集まり、
1コーラスのみのアコースティックメドレーで聴かせる所は、
ライブのハイライト場面でした。
各楽曲、メロディーそのものに力があるからこそ、出来るシンプルなアレンジ。
「ワインレッドの心」「恋の予感」「碧い瞳のエリス」「Friend」
シンガポーリアンも涙しながら、日本語の歌詞を一緒に歌っていました。
そして「夏の終わりのハーモニー」を大合唱、会場が一体となった瞬間でした。
Indoor Stadiumは、ホールの大きささながら、
基本的に大音響で聴かせるロックバンド中心の箱で、
繊細な音は望めない場所ですが、演奏者の力量によるなあと唸りました。
2時間、インターミッションなし。
楽曲の流れや運びが本当に自然で、全く飽きさせなかった。
海外特別仕様だった点は、新曲はモニターに歌詞の英語の字幕が付いたこと。
その甲斐あってか「オレンジ」はこちらでも評判で、
安全地帯が過去のバンドではない、
玉置さんの作曲力は今もなお健在である事を印象づけたようです。
"Can you hear me?"と字幕が出た時は、
「その位は自分で言いましょう!」と、我々3人組、ツッコミを入れましたが。
個人的に、一番私の心に響いたのは「あの頃へ」でした。
この曲を最初に聴いたのは、日本でTVのCMを通して。
「日本の四季の美しさ」を感じさせる楽曲で、私が初めて北海道に行った時、
列車のデッキの小さな窓から見た一面の雪景色を思い出しました。
この曲は、独特な音使いがあって、出だしAメロの「雪が降る」の「ゆ」はナチュラル、
同じくリピート後のAメロ、「春を待つ」の「は」はブルーノートで、音が曇るのです。
玉置さん、たまに出だしからブルーノートで歌う時もあります。
何と言うか、彼のこういうちょっとしたマイナーコードの使い方が私は好きで...。
だめだ、段々マニアックな話になって来た。
暑いシンガポールで、「日本の冬」を感じた一瞬でした。
旭川出身の玉置さん。彼の音楽の地盤は、冬、雪、寒さなのでしょう。
松井五郎さんの歌詞も、シンプルで見事な心象風景描写です。
シンガポールのメディア評を二つご紹介。
一つはこちら。
▼もう一つは、The Straits Times紙。
xinmsnの記事で特筆すべき表現は、"Soft rock band"、
"long-awaited debut concert here in Singapore"、"Koji Tamaki and his gang" 、
"first-class vocal talents" 、"true-blue Japanese ballads"、"U2 of Asia"。
Straits Timesは、
"They do not dance pretty nor look svelte but Anzen Chitai still rock!"
「最後の曲となった"悲しみにさよなら"はこちらでも大変有名な曲で、
その証拠に、曲中、玉置さんが歌わない部分も、観衆は日本語で歌い続けた。」
「最も残念だったのは、アンコールを行わなかったこと。
彼らがステージから去った後も、観客はいつまでも拍手と声援を止めなかった。
この公演が安全地帯の最終公演ではないことを願う。」
とありました。
アジアの歌手がカバーし、知られている楽曲はバラードが多い事から、
「彼らは、ロックも歌う」という事が、こちらの人々には新鮮だったようです。
安全地帯は、最終的には「立たないシンガポーリアン」を総立ちにさせました。
泣かないで ひとりで ほほえんで 見つめて あなたのそばにいるから
一生懸命日本語で歌うオーディエンスに、玉置さん、泣いていました。
シンガポール公演は、全ツアーの最終公演だった事もあるのでしょう。
メンバー全員、感極まっているようでした。
最後に。
同じ歌手のはしくれとして思うのは、玉置さんのヴォーカル、本当に圧巻です。
以前より、声が太く、深く、艶もあり、感情移入が見事です。
やさしさと強さの両方を兼ね備え、大きな包容力を感じました。
悲しみが溶けている声。
心の一番深い所に届く声です。
いつまでも聴いていたかった。
音楽は、本当に心から真剣に取り組めば、地獄を見ます。
あらゆる事に敏感になり、神経はズタズタ、命を削る作業です。
感受性が鋭いからこそ音楽を作る事が出来、
そして作れば作るほど、更に繊細になる、その繰り返しです。
玉置さん、どうか心と体に気をつけて、その類い稀な才能から産まれる音楽と歌を、
いつまでも私達に聴かせて欲しいと、ファンの1人として、祈らずにはいられない。
そう願う夜でした。